CMSの導入を検討している方のなかには「それぞれのサービスを比較しながら利用を考えたい」という悩みもあるのではないでしょうか。
CMSはWebサイトを運営するために欠かせないシステムであり、ITに詳しくない方でも簡単に利用できます。
現在インターネットでは多くのCMSが展開されており、世界と日本ではシェア率が大きく異なります。
当記事では、CMSの世界・日本シェア率や比較ポイントまで詳しく紹介します。
目次
CMSとは
CMS(Contents Management System)とは、Webサイトのコンテンツを構成するテキスト・画像・デザインなどを一元的に保存・管理するシステムです。
CMSを利用していないWebサイトの場合、HTMLやCSS、JavaScriptなどのプログラミング言語を用いてページ作成をしなければいけません。
Webサイトの独自作成にはエンジニアやデザイナーなどの人材が必要になるため、工数や手間がかかります。
CMSは専用の編集画面が用意されており、HTMLやCSSなどのプログラミング言語がわからない方でも手軽にWebページの更新・追加が可能です。
パソコンやスマートフォン、タブレットなど幅広いデバイスにも対応しているので、ユーザーに合わせて利用しやすい環境を簡単に構築できます。
CMSの必要性
Webサイトの運営は、必要に応じてコンテンツの更新や Webページの追加・カスタマイズが必要です。
企業や個人によってはHTMLやCSSなどのプログラミング言語を使いながら、オリジナルのWebサイトを作成することもあります。
しかし、Webサイトの専門知識がない方は一から作成するとハードルが高くなり、途中で挫折してしまうケースも多いです。
Webサイトの作成にCMSを利用すれば、専門知識がない方でも手軽に更新ができるようになります。
複数人に権限を付与することもできるため、担当者に合わせて必要な作業を割り当てられます。
また、SEO対策を考慮したサイト設計になっているものが多く、WebサイトのコンテンツをGoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示を狙うことも可能です。
そのためCMSは、企業や個人のWebサイト運営に必要不可欠なシステムとなっているのです。
CMSの種類
CMSには、以下のような種類があります。
各CSMの詳細や特徴を説明するので、作業環境に合わせて利用を検討しましょう。
オープンソース型CMS
オープンソース型CMSは、ソースコードが一般公開されているCMSです。
誰でも無料で使うことができ、自由にカスタマイズできるようになっています。
代表的なオープンソース型CMSとして、WordPressやDrupal、Joomla!などがあります。
サポート体制はないため、トラブルが発生した場合は自分で情報を調べながら解決しなければいけません。
多数のプラグインやテーマが用意されているので、カスタマイズ性に優れたCMSを求める方におすすめです。
パッケージ型CMS
パッケージ型CMSは、Websサイトの構築・管理に必要な機能を1つのパッケージにまとめたCMSです。
CMSの販売会社からライセンスを購入して利用するタイプとなっており、企業が導入するケースが多いです。
Webサイトを運営するためのサーバーは自社で用意するため、カスタマイズ性は高くなっています。
ただし、カスタマイズには専門的な知識が必要になるので、企業で導入するときは対応できる人材が求められます。
他社にはない独自のWebサイトを作成したいなら、パッケージ型CMSがおすすめです。
クラウド型CMS
クラウド型CMSは、インターネット上のクラウドサービスとして提供されているCMSです。
クラウドで運営会社がWebサイトを構築・管理するため、自分でサーバーを用意する必要はありません。
すでにWebサイトの環境が構築されているので、ほかのCMSに比べて手間なく導入できます。
オープンソース型CMSと同じく、無料で利用できるサービスも豊富にあります。
サーバーのコストを削減しながらWebサイトの運営をはじめるなら、クラウド型CMSがおすすめです。
ヘッドレスCMS
ヘッドレスCMSは、フロントエンドとバックエンドが分離されているCMSです。
フロントエンドとはWebサイトが表示されている部分、バックエンドはデータ管理部分を指します。
ほかのCMSはフロントエンドとバックエンドを両方管理していますが、ヘッドレスCMSにはフロントエンドが含まれていません。
ヘッドレスCMSはWebサイトの表示速度が速く、CMS機能を後付けできる点がメリットです。
プログラミング言語の理解が深く、バックエンドでWebサイトのシステム開発をおこないたいときはヘッドレスCMSがおすすめです。
ヘッドレスCMSとは?仕組みやメリットデメリットをわかりやすく解説
ヘッドレスCMSの仕組みや従来型CMSとの違いを具体的な例を用いてわかりやすく解説し、導入後のメリットやデメリットもご紹介します。
CMSのシェア率
ITテクノロジーに関するデータを調査しているW3Techsによると、インターネット上にある全WebサイトのCMS利用率は約69%(2024年12月9日時点)となっています。
とくに世界的にシェア率が高いWordPressやShopifyは、多くの企業・個人に利用されています。
HTMLやCSSなどのプログラミング言語を知らない方でも手軽にWebサイトの運用をはじめられるため、多くの方はCMSを利用しているのです。
今後のインターネット上では、CMSのシェア率は現在よりも増えていくと予想されます。
CMSの世界シェアランキング
順位 | CMSの種類 | CMSのシェア |
---|---|---|
1位 | WordPress | 62.20% |
2位 | Shopify | 6.60% |
3位 | Wix | 4.50% |
4位 | Squarespace(スクエアスペース) | 3.10% |
5位 | Joomla | 2.30% |
6位 | Drupal(ドゥルーパル/ドルーパル) | 1.30% |
7位 | Adobe Systems | 1.20% |
8位 | Webflow CMS | 1.10% |
9位 | Prestashop(プレスタショップ) | 1.30% |
10位 | Google Systems | 0.90% |
参照:W3Techs
CMSの世界シェアは、WordPressが62.2%となっています。
WordPressはオープンソース型CMSとして無料で利用できるため、Webサイトの運営コストをおさえたい企業や個人から人気があります。
続いてECサイトの構築・管理ができるShopifyが6.6%、独自開発ができるWixが4.5%のシェア率です。
このようにWordPressは、世界的にもトップシェアを誇るCMSであることがわかります。
CMSの日本シェアランキング
順位 | CMSの種類 | CMSのシェア |
---|---|---|
1位 | WordPress | 83.20% |
2位 | Shopify | 2.80% |
3位 | Adobe Systems | 2.60% |
4位 | Jimdo(ジンドゥー) | 1.90% |
5位 | カラーミーショップ | 1.70% |
6位 | JustSystems Homepage Builder(ホームページ・ビルダー) | 1.70% |
7位 | EC-CUBE(イーシーキューブ) | 1.30% |
8位 | はてなブログ | 0.90% |
9位 | MakeShop Japan | 0.80% |
10位 | Studio | 0.70% |
参照:W3Techs
CMSの日本シェアは、WordPressが83.2%となっています。
続いてECサイトの運営に利用されているShopifyが2.8%、クリエイティブティに優れたAdobe Systemsが2.6%という結果です。
国内においてもWordPressがトップシェアを誇っており、多くの企業や個人が利用しています。
国内ならではのCMSである「はてなブログ」や「ライブドアブログ」などもブロガーから人気です。
シェア率が高いおすすめCMS10選
こちらでは、シェア率が高いおすすめCMS10選を紹介します。
各CMSの詳細・特徴を説明するので、ぜひ導入を検討してください。
1.WordPress
WordPressは、カスタマイズ性に優れていて簡単にWebサイトを作成できるCMSです。
世界的にトップシェアを誇るCMSであり、柔軟なカスタマイズのしやすさが人気となっています。
機能を追加できるプラグインやデザインを変更できるテーマなどが用意されているため、初心者でも高品質なWebサイトに仕上げられます。
公式サポートがなくサーバー代が必要な点はデメリットですが、インターネットの情報を参考にすれば簡単にはじめることが可能です。
CMS選びに迷ったときは、WordPressを導入することをおすすめします。
2.Adobe Experience Manager
Adobe Experience Managerは、IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトを展開しているAdobe社が運営しているCMSです。
日本シェア率3位の実績があり、Webサイトやアプリケーション、デジタルコンテンツの制作・管理・配信を効率化できます。
AIを活用したコンテンツ作成ができるため、担当者の時間・コストを削減可能です。
また、Adobeのアプリケーションと連携することもできるので、コンテンツやデータの一元管理ができます。
普段からAdobe社のデザインソフトを利用しているなら、Adobe Experience Managerの導入がおすすめです。
3.Shopify
Shopifyは、ECサイトの構築・管理ができるCMSです。
Webサイトの知識がない方でも簡単にネットショップを開設できるため、商品販売を目的とした企業や個人に利用されています。
ECサイトのテンプレートや決済手段、ホスティングサービスなどがパッケージ化されている点が特徴です。
Shopifyならではの追加機能やサービスも多く、販売活動を効率化できます。
プログラミングやコーディングの知識があれば、細かなカスタマイズをおこなうことも可能です。
ECサイトの運営をはじめたい方は、Shopifyの導入をおすすめします。
4.Squarespace(スクエアスペース)
Squarespaceは、WebサイトやECサイト、ポートフォリオサイトなど幅広い用途で利用できるクラウド型CMSです。
日本での知名度は低いですが、世界的にはシェア率4位の実績があります。
デザインテーマが100種類以上あるため、企業や個人の目的に合わせたWebサイトを作成できます。
ただし、日本語には対応していないので、英語の理解が必要です。
eコマースやオンラインストア機能をはじめ、マーケティング、SEOツール機能などもあります。
グローバルなWebサイトを作成したいなら、Squarespaceの導入がおすすめです。
5.Wix
Wixは、世界で180国以上に利用されているオープンソース型CMSです。
HTMLやCSSなどのプログラミング知識は不要となっており、専門知識がない方でも手軽に利用できます。
Webサイトにさまざまな機能を組み込めるため、目的に合わせたカスタマイズが可能です。
ドラッグ&ドロップで直感的な操作ができるので、初心者でも簡単にWebサイトの運営をはじめられます。
1万点以上の無料写真・動画素材も用意されており、コンテンツ作成に活用できます。
柔軟性の高いCMSを求めるなら、Wixの導入がおすすめです。
6.EC-CUBE
EC-CUBEは、株式会社イーシーキューブが提供しているオープンソース型CMSです。
ECサイトの運営を目的とした企業・個人から人気があり、必要な機能が豊富に搭載されています。
商品管理やカート・会員機能、店舗管理、入金管理、販促管理などECサイトに必要な機能が充実しています。
日本製のCSMとなっているため、海外製よりも利便性が高いです。
国内で開発されているECサイト向けCMSを求めるなら、EC-CUBEの導入がおすすめです。
7.MakeShop
MakeShopは、GMOメイクショップ株式会社が提供しているパッケージ型CMSです。
170種類以上のデザインテンプレートが用意されており、取り扱う商品に合わせたWebサイトに仕上げられます。
電話やメール、掲示板など、無料サポートが充実している点も特徴です。
eコマース機能やSEO、SNS連携機能なども搭載されており、ECサイトを効率良く運営できます。
クリエイターモードも用意されているので、HTMLやCSSを使ってオリジナルデザインのWebサイトを作成することも可能です。
カスタマイズ性に優れており、高品質なECサイトを作成したいならMakeShopの導入がおすすめです。
8.Drupal(ドゥルーパル/ドルーパル)
Drupalは、世界的な大企業や政府機関、NGOなどのWebサイトに利用されているオープンソース型CMSです。
柔軟で拡張性の高いプラットフォームとなっており、拡張モジュールを追加すれば自由に機能を増やせます。
会員制サイトやSNS、社内のイントラシステムなどを構築できるため、Webサイト作成以外の用途にも利用可能です。
SSL・アクセス権限などの機能が標準搭載されており、専門のセキュリティチームも用意されている点は魅力です。
世界的にさまざまな用途で利用されているCMSを求めるなら、Drupalの導入がおすすめです。
9.STUDIO
STUDIOは、STUDIO株式会社が提供しているCMSです。
完全ノーコードでWebサイトを作成でき、ドラッグ&ドロップの簡単な操作となっています。
管理画面もわかりやすく設計されているため、初心者でも手軽に使いこなせます。
無料のテンプレートが豊富に用意されているので、目的に合わせてWebサイトを作成可能です。
また、サーバー利用料がかからないことから、ほかのCMSに比べて毎月のコストが少なく済みます。
直感的な操作でWebサイトを作成するなら、STUDIOの導入がおすすめです。
10.Movable type
Movable typeは、シックスアパート株式会社が提供しているパッケージ型CMSです。
現在は最新バージョンの「Movable Type8」がリリースされており、規模感を選ばず幅広いビジネスに利用できます。
セキュリティ対策を強化しやすいため、大手企業や官公庁、教育機関で採用されています。
1つのCMSで複数のWebサイトを作成できるので、目的に合わせた展開が可能です。
公式のテクニカルサポートやメンテナンスも受けられることから、トラブルが発生したときでもスムーズに解決できます。
セキュリティ性が高く、安全にWebサイトを運営するならMovable typeの導入がおすすめです。
CMSの比較ポイント
CMSのサービスを比較するときは、以下のようなポイントをチェックしておきましょう。
1.機能
CMSにはそれぞれ機能が搭載されており、目的に応じた使い方ができます。
例えば代表的なWordPressには、プラグインによる拡張機能やテーマなどの機能があります。
プラグインは必要な機能を自由に追加できるため、Webサイトを効率良く運用することが可能です。
もしECサイトを運営するのであれば、決済機能やカート機能が搭載されているCMSがおすすめです。
このようにCMSによって便利な機能が豊富にあるので、導入前に比較してみると良いでしょう。
2.費用
CMSには、無料と有料の2種類があります。
基本的にWordPressのようなオープンソース型CMSは無料で利用できるため、レンタルサーバーの費用のみで運用をはじめられます。
パッケージ型CMSやヘッドレスCMSは有料の製品が多く、初期費用や月額・年間費用が必要です。
Webサイトの運用は長期間になるので、予算が限られているなら低コストで導入できるCMSがおすすめです。
これから実施する事業やプロジェクトに合わせて、費用対効果が高いCMSを導入するようにしましょう。
3.事業規模
企業がCMSを導入する場合、事業規模に合わせて選ぶことも大切です。
CMSのなかには小規模のWebサイト運用に適しているものもあり、大規模になると対応が難しくなることもあります。
とくにオープンソース型CMSやクラウド型CMSの場合、独自カスタマイズをしなければ大規模の事業に対応できない可能性も高いです。
そのため事業規模を整理し、適切なWebサイト運用ができるCMSを導入するようにしましょう。
4.セキュリティ
CMSは、サービスによってセキュリティの強さが異なります。
セキュリティ対策ができていない状態でWebサイトを運用すると、悪質な被害を受けるケースもあります。
個人情報の盗用や勝手なサイト編集などの被害を受けるため、サイト運営者はセキュリティ性を高めることが大切です。
例えば前述で紹介したMovable typeではセキュリティ対策を強化しやすく、安全にWebサイトを運用できるようになります。
また、WordPressではセキュリティ関連のプラグインをインストールすることで、セキュリティ性を高められます。
Webサイトの安全性を高めるためにも、セキュリティの強いCMSを導入しましょう。
5.サポート体制
CMS側のトラブルを迅速に解決したいときは、サポート体制の有無をチェックしておきましょう。
WordPressのようなCMSは世界的にもシェア率が高いですが、運営会社からのサポートは用意されていません。
インターネットから自分で解決策を調べる必要があるため、トラブルの解決まで時間がかかります。
運営会社がサポートしているCMSであれば、問題が発生したときにスピーディな対応ができます。
トラブルをすぐに解決したい方は、サポート体制が充実しているCMSを利用しましょう。
6.カスタマイズ性
自分の目的に合わせて柔軟なWebサイトを構築したいなら、カスタマイズ性に優れたCMSの導入がおすすめです。
CMSのなかにはHTMLやCSSのコードを使用せずにカスタマイズできるものがあり、ドラッグ&ドロップで直感的な編集ができます。
Webサイトのデザインを自由に設定できるため、目的に合わせたかたちに仕上げられます。
オリジナルのWebサイトを作成したいときは、カスタマイズ性に優れたCMSを導入しましょう。
CMSを導入するときのポイント
CMSを導入するときは、以下のようなポイントをおさえておきましょう。
それでは詳しく解説します。
1.目的を明確にする
Webサイトの運営目的は、企業や個人によってそれぞれ異なります。
例えばECサイトを運営する場合、展開する商品の売り上げアップが目的です。
ほかにも自社ブランドの認知度向上や集客などの目的があります。
CMSはそれぞれ特徴があるため、導入前にWebサイトの運営目的を明確化することで利用すべきサービスが見つかるようになるでしょう。
2.サイトのコンテンツ内容を明確にする
CMSの導入前には、Webサイトから発信するコンテンツ内容を明確にすることも大切です。
SEO記事やニュース記事、店舗紹介、LPなどWebサイトのコンテンツは幅広くあります。
そのためWebサイトのコンテンツ内容を明確にしながら、最適なCMSを導入するようにしましょう。
3.運用体制を整える
企業でCMSを導入する場合、事前に運用体制を整えておくことが大切です。
運用担当者や部署、更新頻度、分析方法などを整備しておくことで、スムーズにWebサイトの運用ができるようになります。
また、複数人の担当者を配置する場合、社内の役職やポジションに合わせて適切な管理者権限を付与することも重要です。
CMSの導入後に運用体制を整えるとすぐにWebサイトの運用をはじめられなくなるため、導入前に準備しておくようにしましょう。
CMSのシェアのまとめ
今回は、CMSの世界・日本シェア率や比較ポイントまで詳しく紹介しました。
CMSは世界的にも多くの方が利用しているシステムであり、インターネット上のWebサイトを構築・管理しています。
HTMLやCSSなどのプログラミング言語を必要としないため、誰でも手軽にWebサイトの運用をはじめられます。
ぜひ当記事で紹介したCMSを参考にしながら、Webサイトの運用をスタートしてみましょう。