WordPressは脆弱性が多いの?
簡単に対策できるの?
WordPressは、全世界で圧倒的なシェアを誇るCMSです。その使いやすさ・利便性・拡張性の高さから、多くの個人や企業に選ばれています。しかし、その普及率の高さから攻撃対象になりやすいため、サイト管理者は常に警戒が必要です。
当記事では、WordPressの脆弱性の概要から、想定される具体的なリスク、初心者でも実践できるセキュリティ対策まで、最新情報を交えながら徹底解説します。
WordPressサイトの運営に携わる方は、大切なサイトを守るためにも、必要な知識を今すぐ習得しましょう。
目次
WordPressの脆弱性とは?
WordPressの脆弱性とはセキュリティ上の欠陥のことで、放置するとさまざまなリスクが生じます。ここでは、脆弱性の基本概念・種類・最新の脅威について解説していきます。
脆弱性についての基本的な概念
WordPressの脆弱性とは、WordPress本体・テーマ・プラグインのプログラムやツールに存在するセキュリティ上の欠陥のことです。
対策を怠るとサイト改ざん・情報漏洩・データ盗難といった被害が生じるリスクがあります。
脆弱性が生じる主な原因は、以下のようなものがあります。
- プログラムの不具合や設計ミス
設計の甘さやコードの記述ミスが原因となり、外部からの攻撃や侵入を許してしまうケースがあります。 - 設定の誤り
初期設定のまま運用すると、セキュリティ上の弱点が残ってしまう場合があります。 - バグの放置
ソフトウェアの更新が行われないと、既知の脆弱性が放置され、攻撃対象になりやすくなります。
WordPressにおける脆弱性の3つの種類
WordPressの脆弱性は、主に以下の3種類に分類されます。
1.WordPress本体の脆弱性
WordPress本体の脆弱性は影響が大きく、サイト全体に被害が及ぶ恐れがあります。コアの脆弱性に対しては緊急パッチが提供されるケースが多いため、インシデント発生時には迅速に対処することが重要です。
2.テーマの脆弱性
デザインテンプレートに含まれる脆弱性です。
例えば、Bricksテーマの認証不要RCEが挙げられます。近年ではカスタマイズ機能悪用型XSSと呼ばれる新たな攻撃手法も増加しているため注意が必要です。
特に非公式テーマの多くは重大な脆弱性が存在しているため、利用は控えるのがおすすめです。
3.プラグインの脆弱性
機能拡張用のプラグインに起因する脆弱性です。主なリスクパターンとしては、SQLインジェクション・認可バイパス・ファイルアップロード脆弱性が挙げられます。
WordPressにおいてプラグインの脆弱性は最多であるため、重点的に対策を講じる必要があります。
WordPressが狙われやすい4つの理由
WordPressは、以下のような理由からサイバー攻撃の標的にされやすい傾向にあります。
1.圧倒的な市場シェア
全世界のWebサイトの40%以上(日本企業サイトの80%)がWordPressを採用しており、圧倒的な市場シェアを誇ります(※)。1つの脆弱性が見つかれば多数のサイトを攻撃できるため、攻撃者にとって費用対効果が高い魅力的な標的となっています。
※参照:W3Techs|コンテンツ管理システムの利用統計と市場シェア(2025年4月)
2.プログラム、システム構造の公開性
オープンソースであるため、プログラムコード・システムの構造が広く知られています。デフォルトの管理画面URL(※)や主要ファイル構成が周知されているため、攻撃パターンの作成や自動化が容易に行えることから、標的にされやすい傾向にあります。
※例:デフォルトの管理画面URL(サイトドメイン/wp-admin/)
3.テーマ・プラグインへの依存度が高い
WordPressのテーマ・プラグインは便利ですが、リスクも孕んでいます。統計では全脆弱性の96%がプラグインに起因(※)しています。特に、非公式プラグインは品質にばらつきが見られ、セキュリティ未検査のものが流通していることも、リスクを高める要因となっています。
※参照:2024 Annual WordPress Security Report by Wordfence
4.ユーザー側の対策不足
WordPressユーザーの多くは、以下のように適切な対策を施していない傾向にあります。
- セキュリティについてのリテラシーが低く、アップデート機能を放置している。
- 「admin:password」等の脆弱な組み合わせのパスワードが利用されており、不正アクセスが容易となっている。
WordPressの脆弱性による6つのリスク
WordPressの脆弱性がもたらすリスクは多岐にわたります。以下に、WordPressの脆弱性によって発生するリスクをまとめましたので、参考にして下さい。
1.サイトの改ざん
WordPressの脆弱性を悪用されると、攻撃者に管理者権限を不正取得され、Webサイトが無断で変更されてしまう場合があります。このようなサイトの改ざんにおいては、一般的に悪意のあるリンクが埋め込まれる手口が用いられます。
サイトの改ざんで問題となるのは、正規サイトを装った改ざんページはユーザーの警戒心を解くため、不用意なクリックや操作を誘発してしまうケースが多発することです。個人情報やパスワードを抜き取るサイトへ自動的に転送されるという危険なケースも見られます。
また、攻撃者はサイト改ざん時にバックドアと呼ばれる不正侵入経路を設置するケースもあります。この場合は脆弱性の修正後も攻撃者に不正アクセスが続いて追加の被害が発生する恐れがあるため、徹底的な対策が必要です。
2.重要情報の漏洩
WordPress内部には、サイト利用者の氏名・メールアドレス・パスワードといった個人情報を含む重要な情報が保存されています。システムに脆弱性があると、外部からの不正アクセスによりこれらの情報が流出するリスクがあります。
例えば、過去には以下のような被害事例が発生しています。
- WordPressの未更新が原因で企業サイトが改ざんされ、偽サイトへ誘導される事案が発生
- 教育機関で150以上のサーバーが侵害され、管理者の認証情報が流出する事案が発生
- ECサイトで16万件以上の顧客データが漏洩した大規模情報漏洩事件が発生
このような情報漏洩が起こると、企業の信用失墜・失客・事業停止・損害賠償など、非常に大きなダメージを受ける可能性があります。
特にECサイトにおいては、顧客の個人情報に加え、顧客のクレジットカード情報・注文履歴といった機密性の高い情報が補完されているため注意が必要です。
3.マルウェアの埋め込み
WordPressに脆弱性があると、攻撃者によりマルウェアが埋め込まれ、訪問者のPCが被害を受けるリスクが生じます。
WordPressで見られるマルウェアには、以下のように複数のタイプがあります。
マルウェアのタイプ
マルウェア | 内容 |
---|---|
バックドア | 攻撃者が管理者権限を奪取し、継続的な不正アクセスを可能にするマルウェアです。 データベースに偽装した管理者アカウントを追加するのが典型的な手口です。 |
スパムリダイレクト | 訪問者をフィッシングサイトや不正広告ページに自動転送するマルウェアです。特に「header.php」ファイルの改ざんによる被害が多く発生しています。 |
SEOスパム | 違法サイトへの隠しリンクを大量生成し、検索順位を操作するマルウェアです。「.htaccess」ファイルの改ざんと併用されるケースが多く見られます。 |
不正プラグイン | 悪意あるコードが仕込まれた偽装テーマ・プラグインです。 スライド作成ツール「Revolution Slider」の脆弱性を悪用した事例が有名です。 |
ファイル改ざん型 | 正規ファイルに暗号化スクリプトを挿入し、サーバー内のファイルやデータベースを勝手に書き換えてしまうマルウェアです。 訪問者のCPUリソースを不正利用するケースもあります。 |
4.DDoS攻撃の踏み台
WordPressの脆弱性を悪用されると、攻撃者によりサイトが操られたコンピュータの一部として組み込まれ、大規模なDDoS攻撃の踏み台として利用されるリスクがあります。
踏み台にされたサイトは、知らない間に他のサイトやサーバーへの攻撃に加担させられてしまいます。
具体的な被害例としては、2014年は16万以上のWordPressサイトがDDoS攻撃に悪用され、日本ドメインも多数含まれていた事例が確認されています。攻撃者は正規の通信に見せかける手法を用いて攻撃を行いました。
踏み台にされると、サーバーリソースの過剰消費・プロバイダからのアクセス遮断措置・プロバイダ規約違反・法的責任の発生といった、連鎖的な被害が発生する恐れもあるため注意が必要です。
5.犯罪・不正行為に悪用
WordPressの管理者権限を奪われると、サイトを完全に乗っ取られるケースもあります。攻撃者はセキュリティホールを突く手法・管理者パスワードを奪取する手法を主な手口として活用し、サイトの制御を不正に獲得します。
乗っ取られたサイトは攻撃者の隠れ蓑のように機能し、以下のようにサイト運営者が気付かないところで不正行為に活用されてしまいます。
- 正規サイトを偽装したフィッシングページを設置し、クレジットカード情報を窃取
- 改ざんされたダウンロードページからウイルス・マルウェアを拡散
- DDoS攻撃の中継地点として悪用され、1日あたりTB級の攻撃トラフィックを生成
6.SEOの評価低下
Googleは、SpamBrain(スパムブレイン)(※)と呼ばれる不正コンテンツを高精度で検出するシステムを採用しています。WordPressサイトの脆弱性を悪用されて、不正なコンテンツが埋め込まれると、検索エンジンからスパムサイトと判定されるリスクがあります。
もし不正コンテンツが検出された場合は、平均20~30位もの大幅な順位下落が発生すると言われているため注意が必要です。悪質なマルウェアやリダイレクトが検出された場合は、検索結果から排除される可能性も否定できません。
検索エンジンは検索ユーザーを守るために、運営者の悪意の有無に関わらず危険なサイトに関しては厳しい判断を下します。復旧後もSEO評価の回復には長い時間がかかるため、計画的な対策が必要です。
参照:2021 年の Google の検索スパム対策 | Google 検索セントラル ブログ
WordPressの脆弱性を狙った5つの攻撃例
攻撃者たちはWordPressの脆弱性を突くために多様な手法を駆使します。ここでは、主要な攻撃パターンと対策方法について解説します。
1.SQLインジェクション(SQL Injection)
SQLインジェクションは、入力フォームに不正なSQL文を入力し、データを改ざん・窃取する攻撃です。
攻撃者は、以下のような複数の攻撃方法を使い分けているのが特徴です。
SQLインジェクションの攻撃方法
攻撃方法 | 内容 |
---|---|
認証バイパス | パスワード欄に特殊な文字列を入力し、常に真となるSQL文を生成することでログイン認証を突破する手法。 |
UNION攻撃 | 「UNION SELECT credit_card FROM users」のような命令を出し、決済情報を直接取得する手法。 |
エラーベース攻撃 | 意図的なエラーを発生させ、エラーメッセージからデータベース構造を推測する手法。 |
SQLインジェクション攻撃の被害に遭うと、深刻な個人情報漏洩・サイト改ざん・法的責任の発生といった深刻なリスクを被る恐れがあります。2024年の調査では全Web攻撃の約66.0%をSQLインジェクションが占めると報告されているため、警戒が必要です。
※参照:「SiteGuard セキュリティレポート(2024.2Q)」|イー・ガーディアン
2.クロスサイトスクリプティング(XSS)
クロスサイトスクリプティングとは、悪意のあるスクリプトを埋め込み、ユーザー情報を盗む攻撃です。全XSS攻撃の約63%をテーマ・プラグインの脆弱性を狙った攻撃が占めており、WordPressユーザーは厳重な警戒が必要となります。
主な攻撃の種類には、以下のようなものがあります。
クロスサイトスクリプティング攻撃の3つの種類
- 反射型XSS
悪意あるリンクをクリックしたユーザーにスクリプトを実行させる手法。 - 格納型XSS
掲示板やコメント欄にスクリプトを埋め込み、訪問者に影響を与える手法。 - DOMベースXSS
クライアント側のJavaScript処理を悪用して攻撃を行う手法。
具体的な被害例として、サイト改ざん・管理者権限奪取・フィッシング詐欺などが報告されており、対策が必要です。
3.クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)
クロスサイトスクリプティング(XSS)は、ログイン済みユーザーのセッションを悪用し、意図しない操作を強制的に実行させる攻撃手法です。WordPressへの攻撃の約18%を占めるため、警戒が必要です。
具体的な攻撃の流れは以下の通りとなります。
- 管理者が正規サイトへログインしてセッションを有効化
- メール・SNSから送付されてきた悪意のあるリンクをクリック
- 非常時のiframeを通じて自動的にリクエストが送信される
- 被害者が操作していないにも関わらず不正な処理が実行される
実際の被害例としては、管理者アカウントの全権限奪取・不正送金・犯罪予告の投稿などの深刻な事例が報告されています。
テーマ・プラグインのフォーム、管理者画面の設定変更機能、プロフィール更新ページなど、WordPress特有の脆弱性を攻められるため、万全の防御策を講じておくことが重要です。
4.ブルートフォースアタック(総当たり攻撃)
ブルートフォースアタックとは、パスワードを総当たりで試し、不正ログインを試みる攻撃手法のことです。攻撃者は自動プログラムで数万パターンの組み合わせを施行し、不正ログインを狙います。
原始的な攻撃手法ですが、WordPressはユーザー数が多く、セキュリティに対する認識が甘いユーザーも一定の割合で存在するため、現代においても被害が多発しているのが実情です。特に、単純なパスワードや、デフォルトの管理画面URLは、ターゲットにされやすい傾向にあります。
攻撃が成功すると管理者権限の奪取・マルウェアの設置・データの改ざんなど好き放題されてしまい、深刻な被害が発生するため注意が必要です。
5.XML-RPC攻撃
XML-RPC攻撃とは、WordPressのリモート投稿機能であるXML-RPCのピンバック機能を悪用した攻撃手法です。攻撃者は偽装したリクエストを大量に送信し、被害サイトを第三者へのDDoS攻撃を加える踏み台として利用します。
具体的な攻撃方法には、以下のようなものが挙げられます。
XML-RPCの攻撃方法
攻撃方法 | 内容 |
---|---|
ブルートフォース攻撃 | 「xmlrpc.php」経由で認証情報を送信し、ユーザー名とパスワードを総当たりで試行します。従来のログインページから攻撃する手法と比べて、効率的に攻撃できるのが特徴です。 |
DDoS攻撃 | サーバーに毎秒数百~数千のリクエストを送りつけ、過負荷状態を引き起こす非常に破壊力のあるサイバー攻撃です。 |
クロスサイトポート攻撃 | 攻撃者が悪意あるコードを仕込み、TCPポートやIPアドレスの情報を引き出す攻撃手法です。 |
具体的な被害は、サーバーリソースの枯渇によるサイトダウン・一般ユーザーのアクセス遮断・管理者権限の奪取・サイト改ざんなど多岐に渡ります。
WordPressは仕様上標的となりやすいため、根本的な対策としてピンバック機能を無効化しておくと安全です。
WordPressの脆弱性を診断・チェックする3つの方法
自サイトの脆弱性を発見して適切な対策を講じるための第一歩は、定期的なセキュリティチェックです。ここでは、段階に応じた脆弱性診断の具体的方法を解説します。
1.基本的な脆弱性をセルフチェック
以下の方法を用いれば、専門知識がなくてもWordPressの基本的な脆弱性をセルフチェックできます。
サイトヘルス機能の活用
サイトヘルス機能を活用すれば、自動診断によりセキュリティ問題と改善提案を即時表示可能です。管理画面の「ツール > サイトヘルス」から利用できます。
コアファイル、プラグインのバージョン確認
ダッシュボードの「更新」画面では、WordPress本体・プラグイン・テーマのバージョンを確認できます。古いバージョンは脆弱性リスク要因となるため、最新版であるか確認しておきましょう。
WPSEC(Online WordPress Security Scan)
WordPressサイトの脆弱性をオンラインで診断できるツールです。ブラウザから自サイトのURLを入力するだけで、脆弱性・設定ミスを検出できます。無料版でも基本的な診断が可能です。
管理画面の基本設定確認
管理画面より以下の設定をチェックします。
- 初期ログインURL(wp-admin)が変更されているか
- 推測されにくいパスワードが設定されているか
- 不要プラグイン・テーマを削除できているか
まずは基本的な脆弱性に対して対策漏れが無いか確認しておくことで、脆弱性リスクの多くを低減できます。
2.WordPress向けのセキュリティ診断ツールを使用する
WordPressの詳細なセキュリティチェックを行うには、以下のツールを活用するのがおすすめです。
WPScan
WPScanは、WordPressセキュリティ監視のスタンダードとして利用されている優秀なツールです。43,000件以上のWordPress関連の脆弱性情報を保持するデータベースと連携しており、WordPress本体・テーマ・プラグインの問題を検出できる診断ツールです。脆弱性情報は24時間更新され、API連携も可能です。
Sucuri SiteCheck
Sucuri SiteCheckは、URLを入力するだけで、マルウェア感染・改ざん・ブラックリスト登録・CMSの脆弱性などをリモートスキャンできるツール(プラグイン)です。ブラウザレベルの検査により、悪意のあるコードを検出可能となっており、診断結果は5段階で評価されます。
Wordfence Security
Wordfence Securityは、WordPressコアファイル・テーマ・プラグインの改ざん検知、公式リポジトリとのコード整合性チェック、Googleセーフブラウジングリストとの照合など、多角的なスキャン機能を備えたプラグインです。多層的な防御機能も提供しているため、スキャンにより問題が発覚した際はそのまま対策を行うことが可能です。
3.WordPressの脆弱性情報をチェックする
WordPressの脆弱性に関する情報サイトが幾つかあります。
日々、情報をチェックしておくことで、脆弱性への対策が行いやすくなります。
本記事の「WordPressの脆弱性情報の3つの取得方法」で詳しく紹介してますので、ご参照ください。
WordPressで実施すべき脆弱性対策
ここでは、基本的な設定の見直しから、専用プラグインの活用、高度なセキュリティ対策まで、実施すべき対策を段階的に解説します。
5つの基本のセキュリティ対策
WordPressの脆弱性対策を行うのであれば、まずは以下の基本的な対策から実施していきましょう。
1.バージョン確認・更新
「ダッシュボード > 更新」より、WordPress本体・プラグイン・テーマの状態を確認します。古いバージョンはリスク要因となるため、すぐに更新が必要です。
2.セキュリティ診断ツール活用
管理画面内蔵の「サイトヘルス」機能で自動検査を実行します。セキュリティ警告があれば対処しておきます。
3.ユーザー権限の見直し
「ユーザー一覧」から不要な管理者権限アカウントの削除もしくは権限降格を実行し、不正利用されるリスクを遮断しておきます。未使用アカウントは削除し、強固なパスワード・2段階認証を設定します。
4.不要なテーマ・プラグインを削除
使用していないプラグイン・テーマは削除してリスク要因を取り除いておきます。無効化のみでは裏口が残る場合があるため、完全削除が必要です。
5.緊急情報の確認
WordPress公式ブログやJVN iPedia等で最新の脆弱性情報を定期的にチェックし、必要であれば対策や対処を行っておきます。
5つの高度なセキュリティ対策
WordPressの安全性をより高めるには、基本的な対策・プラグインによる対策に加え、以下のような高度なセキュリティ対策を施すのが効果的です。
1.WAF(Web Application Firewall)の導入
WAFはSQLインジェクション・クロスサイトスクリプティング(XSS)などのWeb攻撃をリアルタイムで検知・遮断します。通常のファイアウォールでは防げない攻撃にも対応可能です。
2.サーバー側でのセキュリティ設定
ネットワーク層での対策として、未使用ポートの閉鎖や通信制限が重要です。IPS(侵入防止システム)を導入すれば、不正通信のリアルタイム検知とブロックが可能となります。IP制限をかけ、管理者アクセスを特定IPに限定するのも効果的です。
3.HTTPS化(SSL証明書の設定)
SSL/TLS証明書を導入することで通信を暗号化します。WordPressなどのCMSでは、サーバー側の設定に加え、URLのhttps化も必要です。メールサーバーに対してもSSL/TLSを適用すれば、送受信中のメールも保護できます。
4.セキュリティログの監視
ログ分析ツールで不審なアクセスパターン・異常なデータ転送・証明書エラーなどを監視すれば、万が一の攻撃に備えることができます。
5.定期的なバックアップの実施
物理的に離れた場所へ定期的なバックアップを取得しておけば、万が一トラブルが発生した際にも迅速に復旧できます。安全性を確保するため、保存データは暗号化しておくことも重要です。
これらの対策を組み合わせることで、標的型攻撃・無差別型攻撃の両方を同時に防御可能となり、未知の脅威にも対応できるためおすすめです。
WordPressの脆弱性情報の3つの取得方法
セキュリティ対策を継続的に行うには、常に最新の脆弱性情報を入手する方法を知っておくことが重要です。ここでは、信頼性の高い脆弱性情報を得られる具体的な情報源を紹介します。
1.WordPressの公式サイトを確認
まず確認すべきは、WordPressの公式サイトです。同サイト内の「News」セクションには、セキュリティに特化して専用カテゴリが設けられており、以下のような最新情報が詳細に掲載されています。
- コアソフトウェアの脆弱性と修正内容
- セキュリティアップデートの内容
WordPressの脆弱性情報は「責任ある開示」というポリシーに基づき、専門家チームが検証した後に公開されるため、信頼性は高いと言えます。英語記事ですが、翻訳機能を活用して読めます。
また、WordPressの日本語公式サイトでは、WordCamp Asia 2025のハイライトや開発者向け情報が公開されています。ただし、セキュリティ関連の日本語情報は限られているため、他の情報源を併用しつつ情報の確認を行う必要があります。
2.セキュリティ関連のニュースサイトを確認
WordPressの脆弱性情報を入手するには、信頼性の高いニュースサイトを活用するのもおすすめです。主なニュースサイトには、例えば以下のようなものが挙げられます。
Security NEXT
Security NEXTは、深刻な脆弱性情報や修正情報を速報で提供しているサイトです。過去には「CVE-2024-10924、CVSSスコア9.8」の詳細な解説を速報した実績があります。
WPセキュリティ
WPセキュリティは、WordPressのコア・テーマ・プラグインの脆弱性情報を毎日更新しているニュースサイトです。セキュリティコラムも配信しており、脆弱性対策の参考になります。
wp.geek
wp.geekは、WordPressのプロによる情報発信メディアです。月次レポート形式でWordPress関連脆弱性をまとめて提供しているサイトです。プラグイン開発者向けのセキュリティ対策も詳しく解説されています。
上記サイトは緊急性の高い情報を積極的に発信しているため、定期チェックを推奨します。
3.テーマ・プラグインの開発者情報を確認
WordPressの脆弱性はテーマ・プラグインに起因するものが多くを占めます。以下の情報源を使用すると、信頼性の高い開発者情報を直接確認できるためおすすめです。
公式テーマディレクトリ
公式テーマディレクトリの各テーマの詳細ページにある「更新情報」タブにて、セキュリティ修正が記載されている場合があります。また、サポートタブでは、脆弱性に関するユーザーからの報告や開発者の応答が掲載されているケースがあります。
公式プラグインディレクトリ
公式プラグインディレクトリの各プラグインの「詳細」タブにて、セキュリティ更新履歴を確認可能です。修正された脆弱性がある場合、バージョン履歴に「セキュリティ修正」と明記されることがあります。
商用マーケットプレイス
有料テーマやプラグインを取り扱うプラットフォームです。脆弱性が発見された場合、開発者による告知、サポートフォーラムへの報告が行われる場合があります。
開発者による脆弱性情報は有力な情報源ですが、告知頻度にはばらつきがあるため注意が必要です。
まとめ
WordPressで作成したWebサイトを運営するうえで、脆弱性は見過ごせない重大なリスクです。ユーザー数が多いCMSであるからこそ攻撃者の標的となりやすい現実があります。しかし、適切な知識と対応力を身につければ、大半の脅威から自サイトを守ることが可能です。
まずは最新の脆弱性情報を常にチェックし、定期的なアップデート・不要プラグインの削除・強固なパスワード設定といった基本対策を実践しましょう。セキュリティプラグインで防御を強化し、高度な対策としてWAFの導入やログ監視も導入しておくと安心です。
WordPressサイトの安全性を守ることは、ビジネスの成長・信頼・持続性を守ることにつながります。WordPressサイトの脆弱性に懸念のある方は、今すぐにでもセキュリティ対策を始めましょう。